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母乳を通じて子どもへ
ダイオキシンは体内に取り入れられると脂肪にとけ込んで蓄積されるということは 先にも書きました。そして女性の場合は、そのダイオキシンが母乳を通じて体外に排出されます。
ということは、その母乳を飲む赤ちゃんには、どんな影響があるのかということが心配になります。
このことについて、ダイオキシン問題に詳しい長山淳哉・九州大学医療技術短期大学助教授(環境衛生学)のレポートが、以前新聞に掲載されていました。
長山教授は、ダイオキシン類の1つで、あのカネミ油症中毒事件の原因物質である「タイペンゾフラン」に関しての動物実験をしたそうです。ハツカネズミを使い、この有害物質が、胎盤から胎仔(たいじ)へどのくらい移行するかということと、母乳を通じて乳仔(にゅうじ)へどのくらい移行するのかということを調べたのです。
その結果、ショッキングなことに、母乳から乳仔(にゅうじ)への移行率が、胎盤から胎仔(たいじ)への移行率よりも、400倍も高かったということです。長山教授は、この傾向は、他の物質でも同じであると考えられるとし、多量の毒性物質が、母乳によって、次の世代へ受け継がれてしまっていると言明していらっしゃいました。
そして、さらに、母乳を通じて乳児が受け取ったダイオキシン類が、体にどんな影響を及ぼすのかということについて、免疫系への影響を調べたそうです。
それによると、「ダイオキシン類は抗体(ウイルスや菌などの抗原が体内に侵入してきた時に、それらに反応して作り出される物質で、簡単に言えばウイルスや菌をやっつけようとするもの)の生産を抑制する、サプレッサーT細胞の割合を減少させる傾向がある。ダイオキシン類の摂取量が増えるにつれて、サプレッサーT細胞の割合が減少するため、抗体が過剰生産され、免疫活性が強くなりすぎる恐れがある」とのことです。
アトピーにも影響か
このことは、アトピー性皮膚炎の発症とも関わっているようです。
右上の図Bは厚生省の「平成四年度アトビー性疾患実態調査報告書」 の一部だそうです。
長山教授によれば、「次の二点に注目してほしい。まず、六%以上の新生児が、アトビー性皮膚灸と診断されていることである。これは、胎児期に母体から免疫系への悪影響を受けている可能性を示唆している。
次は、母乳ほ育児では、ほ育期間が長くなるにしたがってアトビー性皮膚炎の発症率が高くなるのに、人工乳ほ育児は誕生後、次第に発症率が低下する傾向があるという点だ。人工乳の汚染レベルが、母乳の十分の一以下であることが作用しているのかもしれない。乳牛はいつもお乳を出しており、その汚染レベルがヒトよりもかなり低いからだ。」
母乳を与えたために、一緒にダイオキシンも与えてしまい、子どもがアトピーになってしまうなんてやりきれないですね。
この結果について、長山教授は「しかし、それゆえに、母乳よりも人工乳のほうが良いと考えられては困る。たとえ、これが真実であるとしても、哺乳動物である人類は、母乳で子どもを育てなくてはいけない。重要なことは、環境や人体の汚染レベルがこのような状況にあることを認識し、できるだけ早く安心して母乳が与えられる環境にすることである。」と仰っておられました。
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